工業簿記に苦手意識がおありの方へ

工業簿記の大まかな捉え方

こんばんは。(^^♪

みんチャレの皆さんは、着実に力を付けておられるようで、嬉しい限りです。

ただ、工業簿記に苦手意識がおありの方もあるようなので、今日は、工業簿記を大局的に見てみたいと思います。

 

工業簿記と商業簿記の大きな違いは、工業簿記は、間に製造工程が入ることです。

材料等を仕入れて→製品を製造して→販売する

 

商品を仕入れて販売するだけの企業(商業簿記)は、仕入価格が原価なので、原価はすぐに把握でき、売価も決めやすいです。

 

でも、製造業の場合は、自社で生産するため、材料費や労務費や経費がどれくらい掛かったかを計算して、原価を決める必要があります。

 

そこで、原価計算が重要になってくるのですが、原価計算の方法は、ご存知のように、「個別原価計算」と「総合原価計算」に分かれます。

 

個別原価計算は、エレベーターを製造している会社をイメージしてください。

総合原価計算は、パンを製造している会社をイメージしてください。

 

「個別原価計算」は、この製品のために、この材料をどれだけ消費したかということが把握できるのに対し、「総合原価計算」は、この製品のために、この材料をどれだけ消費したかということが把握できません。

 

個別原価計算」は、比較的金額が大きいものに利用され、指図書番号ごとに消費した材料費・労務費・経費を集計し、原価を求めることができます。

例として、№100が「あべのハルカス」に納品したエレベーター、№200が「虎ノ門ヒルズ」に納品したエレベーターというようなイメージです。

指図書ごとに原価が集計されるので、その指図書の製品が完成しているか未完成かで、指図書番号ごとに、完成品か月末仕掛品かが把握できます

 

総合原価計算」は、全体で消費した材料費・労務費・経費を「先入先出法」や「平均法」などによって、完成品と月末仕掛品に按分する計算が重要になります。

 

 

 

「総合原価計算」には、「単純総合原価計算」のほかに、工程が2以上に分かれる「工程別総合原価計算」や、組別に分かれる「組別総合原価計算」や等級別に分かれる「等級別総合原価計算」などがありますが、考え方は同じです。

 

更には、材料費等の上昇や下落によって、毎期の原価が極端に上がったり下がったりすることを避けるために、「標準原価計算」という手法が用いられ、企業の利益計画等に役立つように「直接原価計算」という手法が用いられます。

 

これが、ザクっと見た工業簿記(原価計算の全体像です。

 

 

第2回第4問の例で考えてみると

個別原価計算ですね。

個別原価計算の問題を解くときは、次のようなメモ書きを行います。

 

 

上の原価計算表は、点線より上が前月消費した分で、点線より下が当月消費した分です。

資料2から直接工賃金の賃率が分かります。

資料3から製造間接費の予定配賦率(65,520,000÷4,500)が求められます。

それぞれ、直接労務費と製造間接費の上にこの金額をメモします。

直接作業時間に上の2や3でメモをした賃率や配賦率を掛けて、記入します。

「××」を駆使しましょう。

 

№1009は、問題の10月中に完成して、11月に引き渡しているという備考から「月初製品」だったことが分かるので、上の表のように備考欄にメモをします。

№1010の点線より上は、10月中に製造した分で完成は11月ということから「月初仕掛品」だったことが分かるので、同様に、上表にメモをします。

 

№1102は、11月に着手、完成しているけど、11月中は未渡しということで「月末製品」ということが分かります。

№1103は、11月に着手、未完成ということで、「月末仕掛品」ということが分かります。

これらも、同様に表内にメモをします。

 

ここまでメモをしたら、T勘定の「仕掛品」と「製品」の月初と月末がすぐに埋まります。

 

次に、「製造間接費」のT勘定にもどって、間接材料費は、ここでは補助材料のことなので、上のボックスから消費額1,523,200が分かるので借方に記載します。

同じく、間接労務費も、上のボックスから消費額1,870,400が分かります。

間接経費は、通信交通費はボックスで求めた金額、電力料は測定額、減価償却費は年額なので12で割った額の合計になります。

 

「製造間接費」の予定配賦額は、上の表の製造間接費の列の点線より下(つまり当月投入分)の合計です。

 

その結果、製造間接費配賦差異(原価差異)が595,840と求まります。

貸方の原価差異欄には「-」を引いておきます。

 

次に、「仕掛品」のT勘定を仕上げて行きます。

直接材料費は、上の表の直接材料費の欄の点線より下の合計です。

直接労務費は、上の表の直接労務費の欄の点線より下の合計です。

製造間接費は、上の「製造間接費」のT勘定で求めたものと同じです。

当月完成高は、当月完成した指図書を合計すれば良いので、№1010と1101と1103の合計になります。

月末有高は、上で既に埋まっていますね。

これで、貸借合計が一致すれば正しいことが分かりますね。

 

最後に、「製品」のT勘定を仕上げて行きます。

月初有高は、既に記載してあるはずです。

当月完成高は、上の「仕掛品」から分かりますね。

売上原価は、当月販売した指図書を合計すれば良いので、№1009と1102の合計になります。

月末有高は、既に記載してありますね。

こちらも、仕掛品同様に貸借合計が一致すれば正しいことが分かりますね。

 

このように、個別原価計算は、原価計算表さえ作成できれば、とても簡単なのです。

是非、得意分野にしてくださいね。(^_-)-☆

 

もし、下のボックスが描けないという方は、仕訳をイメージしてください。

それでも、分からなかったら、遠慮なくご質問ください。

 

 

 

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