食生活アドバイザー2

三大栄養素

三大栄養素とは

炭水化物、たんぱく質、脂質を三大栄養素という。

 

糖質

人間が生きていくうえで最も大切な栄養素。

全エネルギーの約60%弱を糖質から摂取している。

1g当たり4kcalのエネルギーを持ち、単糖類、二糖類、少糖類、多糖類に分類できる。

 

(1)糖質の分類

単糖類・・・ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース

二糖類・・・ショ糖(スクロース)、乳糖(ラクトース)、麦芽糖(マルトース)

少糖類・・・オリゴ糖

多糖類・・・でんぷん、グリコーゲン

 

ブドウ糖

単糖類の1つで、のエネルギになる。

ブドウ糖+果糖はショ糖、ブドウ糖+ガラクトースは乳糖、ブドウ糖+ブドウ糖は麦芽糖という。

 

(2)糖質の消化・吸収

食物に含まれるでんぷんは、口に入ってから小腸で吸収されるまでに消化酵素で分解されてブドウ糖になり、毛細血管に入り、肝臓に送られると、ほとんどがグリコーゲンになって貯蔵される。

グリコーゲンにならずに、肝臓を通過したものは、血液を通って、脳や筋肉などの各種組織に運ばれ、エネルギーとして利用される。

貯蔵されたグリコーゲンは、必要に応じて、再びブドウ糖に変換され、エネルギーとして利用される。

 

グリコーゲン

ブドウ糖が多数結合した多糖類。

動物のエネルギーの貯蔵形態で動物性食品に含まれる。

でんぷんがブドウ糖に分解されて、小腸で吸収され、肝臓に送られると、グリコーゲンとして貯蔵される。

必要に応じて、再びブドウ糖に変換され、エネルギーとして利用される。

 

(3)糖質の栄養

エネルギー源

エネルギーの約60%弱を糖質から摂取している。

糖質を多くとりすぎると、脂肪として貯蔵され肥満を誘発する。

糖質が不足すると、ビタミンやミネラルが不足し、エネルギーの利用効率が悪くなる。

 

糖質とビタミン

ビタミンB群は、糖質の代謝と関係が深く、グリコーゲンから効率よくエネルギーを作り出すために欠かせない。

ビタミンB1が不足すると、食欲減退、疲労感、倦怠感、筋肉痛が出てくる。

 

(4)糖質を含む主な食品

穀類(米・麦・とうもろこしなど)

豆類果物類甘味料(砂糖・はちみつなど)

いも類(じゃがいも・さつまいも・さといもなど)

 

たんぱく質

たんぱく質は、筋肉血液、酵素、ホルモン、免疫抗体などになる栄養素である。

1g当たり4kcalのエネルギーを持つ。

 

(1)たんぱく質の分類

単純たんぱく質・・・アミノ酸だけで構成されるたんぱく質

複合たんぱく質・・・単純たんぱく質に糖質や脂質などが結合したもの

誘導たんぱく質・・・熱や酵素などの作用により変化して生じたもの

 

アミノ酸・・・たんぱく質の最小単位

体の構成に関わるものは20種類とされる。

1つでも欠けると、血液を作るのに必要なたんぱく質が作れないため、食事からバランスよく摂取する必要がある。

必須アミノ酸-体内で作ることができない9種類(バリン、ロイシン、イソロイシン、リジンヒスチジン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン

非必須アミノ酸-11種類、他のアミノ酸から合成することができる

 

(2)たんぱく質の消化・吸収

胃液中のたんぱく質分解酵素で小さな分子に分解され、十二指腸に運ばれる。

十二指腸では、膵液に含まれる分解酵素でペプチドに分解される。

小腸に入ると、粘膜から出される膜消化酵素でアミノ酸に分解される。

アミノ酸は、小腸で吸収されて肝臓に送られ、肝臓で血液など体の各組織に運ばれ、たんぱく質に再合成される。

それ以外のアミノ酸は、エネルギー発生に使われた後、尿素に変えられて尿として排泄される。

 

(3)たんぱく質の栄養

アミノ酸スコアは、植物性たんぱく質より動物性たんぱく質のほうが高い。

動物性たんぱく質は、総たんぱく質の40~50%を摂取するのが理想的。

 

(4)たんぱく質を多く含む食品

動物性たんぱく質・・・肉類、魚類、卵、牛乳、乳製品

植物性たんぱく質・・・大豆、大豆の加工品(豆腐、納豆など)

 

脂質

脂質は、1g当たり9kcalのエネルギーを持つ。

水に溶けず、エーテルやクロロホルムなどの有機溶媒に溶ける性質を持つ物質の総称。

 

(1)脂質の分類

単純脂質・・・脂肪酸とアルコールが結合したもので水に溶けにくい。
       3つの脂肪酸が結合したものを中性脂肪という。

複合脂質・・・単純脂質に水に溶けやすい性質のリン酸や党が結合したもので、リン脂質と糖脂質がある。

誘導脂質・・・単純脂質や複合脂質を加水分解してできるもので、脂肪酸とステロール類がある。

 

脂肪酸

単純脂質や複合脂質を加水分解してできる誘導脂質の1つ。

常温で固体、参加しにくい飽和脂肪酸、植物性油脂に多く含まれ、常温で液体、酸化されやすい不飽和脂肪酸がある。

炭素の数による分類・・・・・短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸

二重結合の数による分類・・・ 二重結合を持たない飽和脂肪酸、二重結合を持つ不飽和脂肪酸

 

ステロール類

動物性のコレステロール、植物性のエルゴステロール

 

 

コレステロール

単純脂質や複合脂質を加水分解してできる誘導脂質の1つ。

体に必要なコレステロールの70%は肝臓で合成され、残りの20~30%は食品から摂取している。

細胞膜性ホルモン副腎皮質ホルモン、脂肪の消化に必要な胆汁酸、カルシウムの吸収率を上げるビタミンDの材料となる。

 

(2)脂質の消化・吸収

脂質の多い食品は、消化の始まりが遅く、吸収には食後3~4時間かかる。

食品中の脂質は、十二指腸で脂質分解酵素により分解され、小腸で吸収され、再び脂肪に合成されてリンパ管に吸収され、最終的に血液に入る。

余分な脂質は、中性脂肪に再合成されて体内に貯蔵される。

貯蔵脂肪は、毎日一定の量が分解されて、新しいものと入れ替わる。

 

(3)脂質の栄養

糖質やたんぱく質と比べて、少量でエネルギーが摂取できる効率の良いエネルギー源

日本人の食事摂取基準では、摂取エネルギーの20~30%を脂質から摂ると良いとされている。

 

必須脂肪酸

脂肪酸の多くは体内で合成できるが、合成できないか合成量が足りないため食物から摂取しなければならないもの。

サフラワー油やナタネ油に多いリノール酸、アラキドン酸、γ-リノレン酸などのn-6系脂肪酸

魚の油に多く含まれるα-リノレン酸、イコサペンタエン酸(IPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのn-3系

 

脂質とビタミン

脂質の代謝には、水溶性ビタミンのビタミンB群が不可欠。

脂溶性のビタミンA・D・E・Kを多く含む食品は油脂とともに摂取することで吸収率を高めることができる。

 

(4)脂質を多く含む主な食品

動物性脂質・・・ラード、牛脂、バター

植物性油脂・・・大豆油、米油、ごま油、オリーブ油、サフラワー油(紅花油)